大学医師から製薬企業メディカルアフェアーズへの転職 #2: なぜ製薬企業?

My story

私は20年以上にわたり内科医として診療に従事してきました。大学病院と地域中核病院で10年間勤務した後、基礎研究に約10年間従事しました。複数のインパクトジャーナルに研究成果を掲載しました。日本の大学院から始まり、最後はカナダでポスドクとして数年間過ごす機会を得ました。

カナダでの経験は、私のキャリアに大きな転機をもたらしました。現地の医師たちは、仕事と家庭のバランスを上手く取りながら、充実した生活を送っていました。これは、日本の医師の働き方との大きな違いでした。一方で、日本の大学医局では人事が硬直化しており、10年以上助教を務めてもポストが開かず、収入も増えない現実がありました。

カナダでは、製薬企業で働く医師が珍しくありませんでした。私のラボの同僚たちも頻繁に企業へ転職していく姿を目にし、日本でも製薬企業で働く選択肢があることに興味を持ちました。しかし、周囲に製薬企業で働く医師がおらず、具体的な仕事内容やキャリアパスのイメージが掴めませんでした。「製薬企業への転職はキャリアダウンではないか」「周囲からどう見られるだろうか」という不安も抱えていました。

転職活動を始めると、エージェントから多くの情報を得ることができましたが、彼らにはMD(メディカルドクター)としての経験がないため、実際の業務や職場環境について深く理解することは難しいと感じました。そのため、自分自身で情報収集しながら試行錯誤を重ねる日々が続きました。

製薬企業で勤務して約10年が経過した今、この選択は大成功だったと確信しています。現在は部門長として重要な責任を担い、医療と製薬の架け橋となる立場で多くの意思決定に関わっています。臨床経験と研究背景を持つ医師としての専門性が高く評価された結果だと感じています。

経済面でも大きな変化がありました。年収は医師時代の2倍以上に上昇し、家族の生活水準を大きく向上させることができました。これは、製薬企業が医師の専門性に高い価値を置いていることの表れだと考えています。

しかし、最も嬉しい変化は仕事と生活のバランスです。以前は難しかった家族との時間を十分に確保できるようになりました。子供の成長をそばで見守り、家族との絆を深める時間を持てることは、何物にも代えがたい喜びです。

驚くべきことに、病院時代と変わらず専門医としての知識や経験が日々の業務で大いに役立っています。臨床現場で培った患者さんへの理解や医療ニーズの把握は、新薬開発や医療情報の提供において極めて重要な役割を果たしています。

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